作家性を活かした映画を撮るために 法学部の私が映像業界に進んだ理由 鯨岡弘識

最後は人で選んだ企業選び

映像業界以外にも内定をもらっていた鯨岡さん。悩んだ挙句、最後の決め手は「人」だったそう。

最終的に映像業界の会社に内定が出たときに悩みは無かったんですか?

実は映像系の会社と、メーカーの会社と、テレビ局で内定をもらっていました。そこで映像系の会社に入って映像制作の段取りを学ぶのか、メーカーに入るのか、さらにその中間でテレビ局でチャンスを待つのか悩んでいました。そのなかで今の会社を選んだのは、今の会社の社長が僕の青臭い話を真面目に聞いてくれていて、将来的なことを含めてこの会社が良いなと思ったからなんです。

内定をもらった3社のなかで今の会社は、内定者の数が一番少ないところだったので、一人一人を大切にしていました。僕が会社員になっても自分の映像作品を作るチャンスを伺いたいということを社長が納得してくれていたんですよ。だから、結局人で選んだかもしれないですね。

一番意外性があるけど、自分が結局この道を選んだんだことによって、自分の決断に自信が持てたんですよ。自分で選んだんだからこうするしかないっていう想いがあって、その選択が今日まで活きているから良かったなと思います。一番スリリングだけど、経験もチャンスも得られる道を選んだっていうところが想いとして強く思っているんじゃないですかね。

(誰に何を言われても、自分が覚悟して選んだ道は強い想いがある。その想いがこれからも活きていくんだね🙆)

映像業界を目指す若者にメッセージ

ー映像業界を目指す若者に向けて伝えたいことは?

僕みたいに、全く違う分野から映画やドラマを撮りたいって人はもっと増えても良いと思うんです。

映像の大学じゃないからとか、映画の分野の大学に行ってないからという理由で諦めている人も多いと思うんだけど、むしろ大学で他のことを学んだほうが面白いことを描けることもあると思うから、遠慮する人が減ってくれれば良いなと思います。無責任なことも言えないですが、どんな環境でも撮れる時代になってきたから、本当に好きなんだったら映画を撮るべきですよ。むしろ映画って会社員をやりながら映画を撮っている人も意外といるので、粘ってほしいなって思いますね。色んな作家性の作品を僕自身が勉強したいから、そういう人がどんどん現れてくれたら嬉しいなって思います。

今は好きなことを並行して成長させていく環境が、すごい整っている気がするんですよね。普通の会社員が好きなことをして、情報収集する環境も整っている気がしていて、どんどん興味あることを並行して進めていくっていうことを、僕自身が肯定したいです。僕はそれをやって後悔したことはないから、ぜひ続けても良いんじゃないかなって思いますね。バンドもやってるし、映画も撮ってるし、それを並行して仕事をしていても、やってて良かったことしかないから。続けることに価値があるっていう最近のブームを僕は信じてます。やっぱり積み重ねだから、本業の人と比べて時間は少ないけど、余裕を持って続けてたら、どこかで成就する瞬間てあるじゃないですか?

(好きならやれば良いと思う。この言葉は響きましたね。鯨岡さんが言うように、自分の好きなことが気軽に出来る時代になっています。あとは自分がやるか、やらないか。本業で忙しいなら休日にやれば良い。時間を見つけてやってみれば良い。いつか何か起こるはず。好きなことをずっと諦めないでいようと思いました。ありがとう鯨岡さん!これからも素敵な作品を作り続けてくれ!)

番外編 鯨岡さんのおすすめ映画

やっぱり映画監督にはおすすめ映画を聞きたくなるよね!ってことで番外編としておすすめ映画を聞いてみました。

1.アフターウェディング (2006)

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2006年制作のデンマーク映画。2007年のアカデミー賞にて外国語映画賞にノミネートされた。コペンハーゲンを舞台に、孤児たちの援助活動に従事する中年男性ヤコブと彼の元恋人の家族をめぐる愛のドラマが展開する。監督は『しあわせな孤独』が高い評価を得た女性監督スザンネ・ビア。主人公のヤコブを『007/カジノ・ロワイヤル』の悪役マッツ・ミケルセンが演じる。人を愛する心とその裏にひそむ孤独、さらには家族の大切さを見つめた衝撃の展開は必見。シネマトゥデイ (外部リンク)

僕が人間ドラマを撮りたいなと思わせてくれた作品のなかの1つですね。マッツ・ミケルセンが本当に良い芝居するんですよ。まだあのボンドの悪役に選ばれる前の映画なんだけど、それも当時は「ドグマ95」っていう当時の北欧映画のルールがあって、あんまり脚色しないでありのままをちゃんと映してドラマを撮ろうっていうムーブメントなんですけど、それにすごい影響を受けました。

2.恋恋風塵(れんれんふうじん)(1987)

恋恋風塵 -デジタルリマスター版ー [ ワン・ジンウェン ]

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候孝賢(ホウ・シャオシェン)監督による、清楚で瑞々しい青春ラブ・ストーリー。鉱山の村で育った幼なじみの阿遠と阿雲は共に貧しい家計を助けるため、中学卒業後、台北に出て働く。慣れぬ都会暮しの中、互いに励まし合う二人に淡い恋情が芽生える。そして互いの職場に仲間も出来、みなで集まれば冷やかされる相思相愛の仲の二人。やがて兵役につくことになった阿遠は、口には出さぬが戻れば彼女との結婚を考えていた。毎日手紙を書くと約束し、彼女にも自分の宛名を書いた千通の封筒を託した……。allcinema ONLINE (外部リンク)

1960年代、母国語がころころ変わっていた時代の台湾が舞台の映画です。この映画は、都会に出稼ぎに来た両思いの男女の話なんですけど、時代の激動が裏にあるから、本音を言い合えないで居続けるだけの二人を見るだけなんです。今の商業映画にあるようなあらすじは一切なくて、ただそれが映画として成り立っているんですよね。台湾ニューシネマが今世界に名を馳せてる所以はそこだなと思います。

3.ビューティフル  (2010)

バルセロナを舞台に、闇社会に生きる男が末期がんで余命いくばくもないことを知り、愛する子どもたちのために精いっぱい尽くそうと奮起する感動作。『バベル』の名匠アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥが監督を務め、現代社会の病理をリアルに扱いながら、闇の中から一筋の光を見いだそうとする人間の強さと美しさを描く。主演は『ノーカントリー』のハビエル・バルデム。父から子どもたちへ向けられた最後の愛の物語に胸が熱くなる。 シネマトゥデイ (外部リンク)

アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA』でも描かれていたメキシコの中流階層という設定のなかで、血を超えた愛を捉えている傑作です。非現実的な設定をドラマに生かすのが本当に上手いと思います。日本の映画もこういう作品は多いんですけど、あの熱量でああいう風に映画を撮れるって素晴らしいなって思えました。

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