21時半。帰り際、駅から歩いて3分のセブンイレブンで、立ち読みをした。『二十歳のとき、何をしていたか?』マガジンハウスの特別編集版だ。おそらく有名なんだろう外国人や、お笑い芸人三四郎の小宮など、何人かの著名人のイラストが描かれた表紙が、ラックの中からこっちを見てた。POPEYEは好きだ。しかも、若い自分が、若い自分でいることを感じたい年頃だから、こういう特集は、やはり気になる。
ページをめくって現れたのは、リリーフランキー。『東京タワー』の著者で、『モテキ』に出てて、是永監督の『そして父になる』に出てたなぐらいの感覚しかないけども、あのうつろな目には惹かれる。
記事の中での言葉。
「20代なんて、いいことはひとつもなかったんじゃない。」
そうかと思った。リリーフランキーは、誰でも就職できるバブル期に就職をしなかった。周りが就職する姿を見て、一人でプー太郎をやっていたそうだ。
僕は、20代はもっと輝いていて、楽しさのピークだと勝手に思ってた。若いって最高だなんて言われるもんだから。そりゃ楽しくて、良い時間を過ごせると思ってた。
ところが現実はどうだ。何も出来てない。時には友人とお酒。飲んで楽しんでいるつもりだけど、どこか浅い。このままで良いのかという不安がつきまとう。心から楽しめているのか?
仕事でも上手くいかない。社会に揉まれる。僕はほんと若者というか、ちっぽけな赤ん坊みたいなもんだ。
このままじゃダメだと、ビジネス本や自己啓発本を読むけども、大きな変化は見られない。
どうするんだろ。このまま。全く若者の時代を楽しめてないんじゃないか。つらいのは分かる。でも、歯を食いしばりながらも全力で突っ走ってる感覚もない。空虚な感覚。
もがき、もがき続けてる気もする。でも本当にこれはもがいてるのかなと思う。
もっと頑張らないと。周りはチラホラ活躍し始めてきた。自分は何をしてるんだ。何も出来てない。焦りがつのって、成果を出せない自分を悲観する日々。
でもリリーフランキーは違った。そうだ。別に20代に良いことが無くたって良いのか。特別視してた20代。今のうちにどこかで花開くはずと思って、その兆しが全く見えないことに、さらに焦ってた。
焦るのは良いかもしれないけど、焦りすぎてた気がする。
なぜか雑誌は、読むべきページを開かせる。
焦ってた自分を落ち着かせてくれた、240ページのリリーフランキーさんありがとう。20代のうちに成し遂げようなんて、思わなくて良いな。焦りはするけど、コツコツと地道にやってけば良いかなとふっと一息つけた。
最後に、リリーフランキーさんはこう語る。
「20代はいつか矛盾をのみ込まないといけないときが来るでしょ。例えば、自分がバカにしていた会社にも受からず、その3段階くらい下の会社に入って、上司におべっかを使って給料をもらうっていう人生を送らないといけない。そんなときにプライドを低くして、美意識が高ければ頭を下げることだって、ストレスがなくなる。そこがスタート地点で、それからその人なりの芸が磨かれていくんじゃないですか。それが一番最初の能力だと思う」
マガジンハウス特別編集『二十歳のとき、何をしていたか?』
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